花粉症は、樹木や草花の花粉が原因となって、鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、のどの痛みといった、さまざまなアレルギー症状を起こす病気です。花粉症の原因というと、スギやヒノキなどがすぐに思い浮かびますが、それ以外にも、日本では、シラカンバやハンノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど、およそ60種類の花粉が花粉症を引き起こすと報告されています。
花粉の飛散シーズンは、体に侵入する花粉をいかに少なくするかが、花粉症対策の重要なポイントです。花粉が体内に侵入しないようにすることは、花粉症の症状を軽減するだけでなく、まだ花粉症でない人にとっては、花粉症の発症を防ぐ効果が期待できます。
花粉症対策のポイントは?
●マスクの着用
マスクをつけることによって、通常のマスクでも花粉をおよそ70%減少し、花粉症用のマスクでは、およそ84%の花粉を減少させる効果があるとされています。顔にフィットし、息がしやすいもの、衛生面からは使い捨てのもの、性能的な面からは不織布のマスクがおすすめです。
●メガネを着用
花粉症用のメガネも販売されていますが、通常のメガネを使用するだけでもメガネをしていないときより、目に入る花粉量は減少します。コンタクトレンズを使用している人は、コンタクトレンズによる刺激が、花粉によるアレルギー性結膜炎を悪化させてしまうので、メガネに替えたほうがよいと考えられています。
●花粉が付着しにくい服装
外出時は、ウールなどの花粉が付着しやすい衣類は避け、綿、ポリエステルなど花粉が付着しにくい衣類を選びましょう。また、頭と顔は花粉が付着しやすい部分ですが、帽子をかぶることで、頭への花粉の付着量を減らすことができます。
●うがいと洗顔
外出先から帰ったら必ずうがいを。のどに付着した花粉を除去する効果があります。また、顔を洗うことで、顔に付着した花粉を洗い落とします。しかし、丁寧に洗顔をしないと目や鼻の周囲に付いた花粉が体内に侵入し、かえって症状が悪化することがあるので、注意が必要です。また、水道水で洗うと粘膜を痛める可能性があるので、生理食塩水(食塩を0.9%の濃度に溶かした蒸留水)を用い、鼻うがい(※)の場合は体温程度に温めて、目は少し冷やして使いましょう。
※鼻うがい:鼻から生理食塩水などを注入して、ほこり、ウイルス、うみなどの汚れを取り除く方法
●換気時は窓を小さく開け、時間を短く
花粉が飛んでいるときでも、室内の換気が必要な場合があります。換気時は窓を全開にせず、10cm程度にし、レースのカーテンをすることで、流入する花粉を減らすことができます。流入した花粉は床やカーテンなどに多数残っているので、掃除やカーテンの洗濯をしましょう。
症状を悪化させないためには?
花粉症の発症には免疫機能の異常が関係していると言われています。花粉症の発症や症状の悪化を防ぐために、日ごろから、睡眠をよくとる、規則正しい生活習慣を身につける、適度な運動をするなどして、正常な免疫機能を保つようにしましょう。また、鼻などの粘膜を正常に保つために、風邪をひかない、たばこを吸わない、過度の飲酒をしないといったことも心掛けましょう。